
「たった15分」の読書習慣が、国語力と自立心を育てる。単価アップも実現した“交換日記”スタイルの指導法とは?
子どもの学力向上において、読解力が重要であることに異論を唱える方はいないでしょう。しかし、読解力はどのように培われていくのか?また、読解力をつけることで学力向上以外にさまざまな副産物があるとしたら?
そして、塾講師の本当の役割とは?
今回は、読書教材「わくわく文庫」と作文による徹底した国語力強化で大きな結果を出している、みらい創造塾の佐藤 祐介先生にお話を伺いました。
みらい創造塾 塾長 佐藤 祐介氏
講師時代を含め約18年間の中学校教員を経て、2019年10月に神戸市内で「みらい創造塾」を開業。地域に根ざした個別指導を行う中で、2021年10月より「わくわく文庫」を導入。読書を通じた国語力向上に力を入れている。
―― 開業当初から「読書指導」を重視されていたそうですが、そのきっかけを教えてください。
佐藤先生 教員時代の原体験。「読書」が教室の空気を変えました。
実は、中学校の教員時代に学校全体で「朝の10分間読書」に取り組んだことが原点なんです。
当初、私は「たった10分で意味があるのか?」「もっと読みたい生徒にとっては中断されて逆効果ではないか?」と懐疑的でした。
しかし、いざ始まってみると驚きました。読書タイムが定着するにつれ、教室に不思議な一体感が生まれ、ざわついていた生徒たちが落ち着きを取り戻していったのです。それまで授業前に立ち歩いていた生徒が授業が始まる前には、すでに座って準備ができている状態に変わりました。 その姿を見て、「読書には単に文字を読む以上の力がある」と確信しました。
この経験があったので、塾を開業する際も「いずれは絶対に読書指導を取り入れたい」と強く思っていました。
―― 数ある教材の中で「わくわく文庫」を選ばれた決め手は何でしたか?
佐藤先生 プロのナレーターによる朗読が、読み聞かせと同じ効果を生むからです。
読書が苦手な子どもたちは、文字を目で追っていても、行間を読んだり情景をイメージしたりすることができません。そこを補うために一番良いのは「読み聞かせ」ですが、家庭や塾で一人ひとりに読み聞かせをするのは現実的に難しいですよね。
「わくわく文庫」に出会ったとき、これだ!と思いました。
プロのナレーターによる朗読を聞きながら、活字を目で追うことができる。正しい抑揚や間の取り方を聞くことで、子どもたちは自然と文章の意味を理解し、イメージを膨らませることができます。
自分のペースに合わせて再生速度を変えられる点も素晴らしく、これなら読書嫌いな子でも無理なく物語の世界に入れると確信し、導入を決めました。
―― 具体的にどのようなコース設計で運用されていますか?
佐藤先生 「授業前の15分読書」をルーティン化し、学習モードへ切り替えます。
当塾では、通常の授業時間の前に「読書の時間」を組み込んでいます。
生徒が教室に入ってくると、指示されなくても自分で本を選び、パソコンの前に座って読み始めます。時間はあえて「15分」に設定しています。これは、「もう少し読みたいな」と思うくらいで終わるのが、継続させるコツだからです。
この15分間で気持ちが落ち着き、脳が活性化されるので、その後の教科指導への入り方がとてもスムーズになりました。今では「読書をしてから勉強する」というリズムが、子どもたちの自立的な学習姿勢を作っています。
「家庭ではできない体験」が、単価アップの鍵になる
経営的な側面でお話しすると、通常の教科指導に「読書コース」をプラスして受講していただく形をとっていますが、追加費用がかかっても保護者の方にはすんなりと受け入れていただいています。
背景には「家ではYouTubeばかりで本を読まない」「親が読み聞かせをする時間がない」といったご家庭の切実な悩みがあります。そこに対して、「わくわく文庫なら、プロの朗読を聞きながら正しい読書習慣が身につく」という、家庭では再現できない価値を提示できています。
「勉強だけでなく、読書も一緒に見てもらえるなら」と喜んでセット受講を選ばれる方が多く、結果として無理なく客単価のアップにつながっています。
―― 独自に取り組まれている、「交換日記」のような感想文指導について教えてください。
佐藤先生 生徒との対話を楽しむことで、表現力が飛躍的に伸びました。
読書後のアウトプットには特に力を入れています。最初は指定のシートを使っていましたが、生徒たちがもっと書きたいと言うので、独自にスペースを広げたノートを作りました。そこに私が必ずコメントを書いて返すんです。まるで交換日記のようなやり取りですね。
最初は「面白かった」「すごかった」としか書けなかった子が、私とのやり取りを続けるうちに、「登場人物のこの行動が不思議だった」「自分ならこうする」といった深い感想を書くようになりました。
ある小学生の生徒は、1年間継続したことで記述力が劇的に向上し、学校のテストでも国語が得意科目になりました。中学生の生徒に関しても、国語の読解問題で安定して高得点を取れるようになるなど、目に見える成果が出ています。
―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。
佐藤先生 世代を超えて「読書」でつながれる場所にしていきたいですね。
導入から数年が経ち、中学生になっても「読書コースを続けたい」と言ってくれる生徒や保護者の方が増えました。受験勉強で忙しくなる時期でも、読書が心の安定剤や楽しみになっているようです。
今後は、小学生から高校生まで継続するのはもちろん、卒業した大学生や、あるいは保護者の方も一緒に読書を楽しめるような、そんな空間を作れたらいいなと考えています。読書を通じて、子どもたちの語彙力や思考力、そして豊かな心をこれからも育んでいきたいですね。
【導入システムの概要】
速読・速聴 読書支援システム「わくわく文庫」


